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記述23 ここに神話をもう一度 Bパート

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今回の更新ではもうちょっと先の展開まで書いてしまいたかったのですが、長くなってしまうのでとりあえずここまでで切ることにしました。相変わらず文字数の想定がガバガバのガバです。一つのパートに複数の場面切り替えがあったら情報提示ノルマが少なくても文章量が増えるのは当然なんですよね。よく考えたらね。ガバだね。
記述23は全体的に展開がまったりとした、嵐の前の静けさみたいな内容が今後も続きます。
つまり、作者にとっては「伏線詰め込み回」というなかなかの難所だったわけで、そういうのも書いていてなかなかの面白いものです。構成に慎重になる分執筆速度も遅くなるわけなのですが。
いや、一番の原因はドラクエだったんですけど。

次は……もっと、もっとね、はやくね。うん、うん。
 
更新分の内容は、わりとコメディしてます。
 



 目的の屋敷に到着すると、その門前に見知らぬ顔の老若男女がズラリと並んでいた。彼らは俺たちの姿を見つけるやいなや「いらっしゃいました!」「本当だ!」と声を上げ、大騒ぎしながら大群で此方まで押し寄せてくる。
「お待ちしておりました!」
「お久しゅうございます!!」
「おかえりなさいませ!!!」
 謎の集団はそれぞれが思い思いの言葉を口にしながら、あっという間に俺たちの周りを取り囲んだ。手を握ったり、肩を触ったり、やや過剰気味なスキンシップを四方八方から飛ばされ、それにどうやって対応するべきかわからず困惑させられる。熱烈な歓迎をされること自体は構わないのだが、何故歓迎されるのか理由が不明瞭なため戸惑いを隠しきることが出来ない。「おかえり」という言葉を投げかけられても、みんな初対面のはずなんだ。
 ……と思った所で、俺の背中に隠れて小さくなっているウルドの存在に気づき、ハッとさせられた。
「本当にトラスト家の養子だったのね」
 周囲に聞こえないくらいの小声でライフに耳打ちをされる。俺は無言でコクコクと頷いた。屋敷に行くのを嫌がっていた本当の理由はこれだったのかもしれない。彼がアルレスでどんな生活をしていたのかは、ローザの発言を聞いてから少し気になっていたのだが……これはまた、なかなかどうして、想像の三倍くらいハートフルではないか。
 謎の集団はみんな似たようなデザインの仕事着を着ているから、この屋敷の使用人であることは間違いない。小さな子供や老人も混じっていることに少々の奇妙を感じるが、この屋敷ではこれが普通なのだろうか。そもそも客人であるとわかっていながらこの対応をすることから「おかしい」と思うのだが。そう思いながら後ろをチラリと振り返ると、俺の背後からひっぱり出されたウルドが使用人たちの魔の手から逃れようと健闘する姿を目にすることができた。心底嫌そうな顔で暴れているが、手加減しているように見える。拒絶やら嫌悪やらといったマイナス感情とはまた性質の違う、迷惑そうな態度にはほのかな微笑ましさが感じ取れた。
「六年ぶりくらいになりますでしょうか?」
「背が伸びていらっしゃいます!」
「本物!?」
「写真よりもずっと、とってもとっても、お綺麗なのです!」
「お好きだったパイを焼いてさしあげましょう」
「だからこんなところ来たくなかったんだよ!!」
 しばらくウルドと一緒にもみくちゃにされていると、門の向こう側に広がる敷地内、その奥の方から初老の男が血相を変えながら駆けつけて来るのが見えた。この騒ぎの中で何故そんなことに気付けたかというと、足音が異様に大きかったからだ。
「御前たち! 大事なお客様方に無礼を働くのはやめなさい!!」
 初老の男は物凄い形相で怒鳴り声をあげ、それを見た使用人たちは飛び上がるようにビックリしながら蜘蛛の子を散らすように俺たちの周りから離れていってくれた。中には彼の急襲に気付くやいなや、そそくさに逃げ出してしまった者すらいた。
 突然の状況変化に思わず呆気にとられていると、気付いたら目の前に巨大な黒い影が立っていた。黒色のシックなスーツでは隠しきれないほど広大な肩幅。はち切れんばかりに膨らんだ逞しい上腕二頭筋。丸太のような首に巻かれた気持ち程度の蝶ネクタイ。上品に整えられた口髭。格好だけを考慮すれば、どこからどう見ても「執事」なのだ。
「当家の下働き共が御無礼な行為に及んでしまい、誠に、誠に申し訳ありません!!」
 訪問したばかりなのに、もうぐったりしてしまっている俺たちの様子を見た執事男は表情を険しくしながら、声色だけ申し訳なさそうなものに変えて演説めいた台詞を続ける。
「玄関先で整列しているようにと厳重に言いつけていたものですが、彼奴等気付けばこの門前に潜伏していた様子。なんと巧妙かつ狡猾、鮮やか!しかして遺憾である! 賓客に迷惑をかけること、それすなわち極刑! 首切りでありますぞ!!」
「い、いえ……そういったものは結構なので、あの……この招待状に書かれている屋敷はここで合っているのでしょうか?」
 勢いに気圧されながらなんとか会話をしようと招待状の入った封筒を突きつける。すると執事男はズズイッと封筒に顔を近づけ、風を切るように三回ほど頭を縦に振った。
「イグザクトリィイッ!! お待ちしておりました、ディア・テラス様。当屋敷の主人ダムダ・トラスト様の本日の御帰還は日没後の予定にございます。故に、それまでは我らが用意した客室にて、くつろいでお待ち頂きたく候」
「あ、ありがとうございます?」
 全然くつろげる気はしないのだが、すっかり気疲れしてしまっていたため、お言葉には甘えておくことにした。
 
 
 
「パーティーですか?」
「その通り。今宵、当敷地内のホールにて冬葬祭の前夜祭にあたる社交パーティーが開催されます。我々の主人はディア・テラス様とそのご友人様方にも、このパーティーを是非楽しんで頂きたいと仰っていました」
 使用人たちに案内されて通された客室でお茶を飲んでいると、あの筋骨隆々な執事男がそんな話題を持ちかけてきた。急に異国の地で開かれるパーティーに参加しろなんて言われて、その通りにする人なんてそうそういないと思うけれど、俺にとっては悪い誘いではない。
 彼の話を詳しく聞くと、この屋敷はトラストさんが有り余る財力を消費するために建造した娯楽施設なんだとか。敷地内にはいくつかの施設があって、その中にあるパーティーホールでは定期的に社交を目的とした懇親会が開催される。近年深刻な経済難が続いているアルレスキューレの王室は清貧を良しとするためにこういったパーティーを開催してくれなくなってしまったから、その代わりに彼が場所を用意しているということらしい。
「私は嫌よ。知り合いに鉢合わせてしまうかもしれないじゃない」
 話を聞いたライフはこの誘いをあっさりを断った。そういえば彼女は貴族の生まれだった。全然そうは見えないから、すっかり忘れていたな。
「私は……マナーとか、ぜんぜんわからないし……ご、ごめんなさい!」
 マグナもふかふかの高級ソファに埋もれながらこれを断る。室内装飾に満ち満ちた絢爛な空間にすっかり萎縮してしまったのか、さっきからずっと挙動不審ぎみだ。
「僕は調べ物があるから、今晩は留守にするよ。パーティーが開かれるっていうなら、あの男、絶対その裏で何か企んでいるはずだからね」
 ウルドも当然のように断ってしまう。そもそも用事が無くてもこういうものには参加してくれないだろうなと思っていたから想定通りだ。
 だとしたら、残るのは……
「ブラムちゃんはどうするの?」
「参加します!!」
 目が輝いている。
「そっか、じゃあ俺がエスコートしてあげようか?」
「結構です!」
「ははっ、正直者でかわいいね」
「ディアは参加するの? やめておいた方が良いと思うけれど?」
 ソファで隣りにいたウルドがちょっとだけ座っている距離を詰めながら話しかけてくる。極めてわかりやすい態度で、安心感すらある。
「もちろん参加さ。社交パーティーなんていったら絶好の情報収集スポットじゃないか。色々と新しい話が聞けるかもしれないし、逃す手はないね」
「でも、よりによって冬葬祭の前夜に開くんだよ? 絶対何か企んでる。僕の方で爆弾やスナイパー対策の見回りはするけど、ずっと見ているわけじゃないから気を付けてね。身の危険を感じたらすぐに通信機で僕を呼んでね」
「なんだか不穏だなぁ……ウルドがそこまで言うなら俺も気を付けるよ、ありがとう」
 ニッコリ笑って返事をすると「本当に気を付けてね!?」と再度注意されてしまった。何を心配しているのだろうか。
「ディアって変な所が暢気よね。サロンなんて戦場とそう変わらない場所なのに」
 ティーカップの中身を空にしたライフが手持ち無沙汰に愚痴をこぼす。
「まぁ、向き不向きのある世界だからさ。苦手意識を持つ人がいるのは仕方ないよ。でも俺は大丈夫」
「どうしてかしら?」
「武器を持っているからね」
 ライフとブラムは顔を見合わせてきょとんとする。何を言ってるんだコイツは、といったリアクションだ。
「ディア様。いくらサロンが戦場だからといって、ダンスホールに光線銃は持ち込まないでくださいよ?」
「ブラムちゃん、俺に対するあたりがちょっとキツくない?」

「失礼致します」

 そうこう話し込んでいると、客室に侍女の服を着た使用人が二人ほど入室してくる。彼女たちはしずしずと筋肉執事の方へ歩いて行き、一つ二つの短い会話をする。その会話が終わると、彼は再びこちらの方へ向きを直して話し始めた。
「パーティーは陽が落ちてからの開催になります。その前にお召し物を着替える必要がございます。ディア・テラス様やウルド様の礼服ならば時前に用意しておりましたが、そちらのレディにピッタリのドレスを、ともなると少々準備が必要となりましょう。こちらの二名がお客様方を衣装室へ案内いたしますので、そちらでお気に召すデザインのものをお選びくださいませ」
 ブラムが小さな声で「やったぁ」とつぶやいた。
「気分はお姫様ね。私が選ぶのを手伝ってあげましょうか」
「ありがとうございます!」
「では、こちらの二人、ライフ・クルトとブラム・ラグエルノの案内をよろしくおねがいします」
「かしこましりました」
 二人の侍女がエプロンの裾をつまみながら頭を垂れる。了承のポーズなのだろう。
「それで……ウルドはともかく、俺の服まで用意されているって……どういうことですか?」
「ディア・テラス様につきましては、体の寸法や体重などのデータを主人より頂いておりましたので、スーツもピッタリのものを用意することができました。デザインもお気に召さなかった時のために複数パターンほど」
「なるほど」
「ディア、そこは納得して良い所じゃないよ?」
 ウルドがますます心配そうな顔で俺の顔を見つめてきた。
 
 
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